第三吾嬬小学校の研究(令和7年度)
更新日:2025年4月25日
研究主題「児童の主体性の育成 〜児童が主体となる「学習時間」の創出〜」(令和6年度・7年度墨田区教育委員会研究協力校)
第三吾嬬小学校では、令和5年度より、令和の日本型学校・「子供が主語になる学校」づくりに向け、大胆な学校教育活動の改革に取り組んでいます。令和6年度からは、墨田区教育委員会研究協力校の指定を受け、教師が主語となる「授業」を、子供自身が主語となる「学習時間」に変換することをメインに研究を進めています。今年度は、これまでの研究の成果を広く発表するため、令和8年2月10日に研究発表会を予定しています。
研究推進年間スケジュール
これまでの研究(令和5年度、令和6年度)
昨年度までの研究についてはこちらをご覧ください。
令和7年度 研究だより "Be Proactive!"
令和7年度の研究 全体会・学習時間研究
令和7年4月23日(水曜日) 第4回研究全体会 「OPPA論について」 埼玉大学教育学部・中島先生を招いて
埼玉大学教育学部・中島雅子先生
〈講演〉埼玉大学教育学部准教授 中島雅子先生
・教育に関する言葉の問題 言葉の定義が曖昧なままでの議論でモヤモヤ
・人は価値観が違う 自分のことをよく知る、ということが大事
・知らず知らずのうちに、私たちは「相対的評価」 集団に準拠する評価をしがち
・OPPA論の機能とその効果
授業改善、教師が楽しくなる、教師の意欲向上、個々の児童の学びの可視化 教師の力量形成
非認知能力の育成、学習意欲の向上、「個別最適化」「協働的な学び」が可能に、学習者主体の学び
本質的な問い この単元で考え続けさせたいことを問う
学習履歴 「今日の授業で一番重要なことは何ですか?」
自分の変容 「この授業を通して何が変わりましたか?(学ぶことの意味)」
自己評価 とは、自分を客観的に知るということ
授業を通して
素朴概念 を 科学的概念に変容させたい
学習履歴による自己の学びの可視化 自己評価
ベネッセ、東大、メタ認知 の共同研究
・メタ認知をつけることが、受験に必要な成績もアップすることにつながる
VUCAの時代をどう生きるか
先が見えない、答えがない、お手本がない時代
本質的な問いは小1にでも大学生にでも使える
学習としての評価 Assessment as Learning 自己の学習のモニタリング、および自己修正や自己調整
学習者個人が設定した目標
「子供に教えてもらう」
教員は、成功体験がある それは自分の成功体験に過ぎない
教員のプリントも、その人のベストであり他の人のベストではない
OPPシートに書かれる内容の主語はすべて「自分」
エージェンシー 自分ごと(主体性)
OPPA論の六原則
自分の悪いところは自分が気づく
本質的な問い
「○○とは何か?」から始めると良い
【質疑応答】
Q 紙でないとダメか? ロイロノートなどでできるか?
→紙の方が良いという話がある
Q クラスの中にかけない子がいると想像できてしまう。
→書けないことは書けないで良い。「書かない」という捉え方もできる。絵しか描かない子もいる。
Q 書く前に、理由を説明する必要があると思うが、
→成績には使わないよ、自分向けに書く、自分のために書く
Q一番大事なこと が教師の意図と違っていたらどう捉えるか
→そのまま捉えれば良い
Q「評価しない」とすると評価するためには別に書かせる必要があるか
→そもそも、教師の都合なので、正しい評価にはならない
パフォーマンス評価を取り入れる
テストに取り入れる
Q 毎時間最後に書くとすると、どれくらいの時間を使うか
→ 5分 (5分で書く力を付けさせておく) 子供達は書きたがる その場合は、後で提出で良い
「短く書けるようになると良いね」など
聞いてきたこと(児童の質問・疑問)には答えない →「良いところに気づいたね」と返す
Q 去年、4年社会で使ってみた 変容が見えた 下の「不思議に思ったこと、考えたこと」はどうしたら良いか
それ以上、出てこない場合は
→書くことが目的になってはいけない
この欄は自己調整につながる大事なパート
同じことを書いていけば良い そこにこだわって学習しているということが可視化される
Q 学習リーダーの学習時間にはどう活用できるか?
【全体会終了後の質疑応答】
○必然性 良かれと思っていることが、悪影響になっていることもある
必然性は何か、というのが大事
○本質的な問い の作り方
人間は自分の変容に気づけない メタ認知の難しさはここ
教材の内容に合わせるか、もっと広い問いにするか
「今日の授業で一番大事なところ」とは、価値観を問う 価値観がメタ認知と関係する
○本質的な問いに対する答えは「自分なり」でよい
○問いの立て方で大事なことは
教師がその単元で伝えたいこと(ここを意識してほしいところ)を問う
小学校なら、単元名そのものでも良い
○「通常授業を行う」は教師主導の授業のことなのか
普段やっていることで良い
○一人一人の子供が不思議に思ったことをどうするのか 授業にどう生かすか
主な意見をカテゴリー化して、授業を組み替えることもできる
紹介する 「良い疑問だった」
○OPPシートを他の子に見せるというのはよくない
令和7年4月16日(水曜日) 第3回研究全体会
・年間予定について
・学習時間研究の持ち方について
・学習リーダーについて
令和7年4月8日(火曜日) 第2回 研究全体会
◎なぜ通知表をなくすのか
子供たちの主体性をつける=手段(目的ではない!)
→そのためには、教育目標「自立」「共生」「健康」を身につける必要がある。
これまでの学校・・・先生たちが決めた目標に児童が合わせていた
これからの学校・・・子供たちが良くなりたいという気持ちを信じていく 子供の成長は様々、一人一人違う。
→「子供たちがどう学んでいるのかを、見取り評価していく。伸ばしていく。」
子供自身の 変容・成長を見取っていく。
子供の自己肯定感を高めていく。
◎評価の種類 診断的評価、形成的評価、総括的評価 形成的評価・・・学習の途中で行う価値づけ・アドバイス また、自己評価を通知表に載せた。
→自分自身のメタ認知能力を高めていく。児童自身が進んで行っていく。
◎OPPA シートの活用(One Page Portfolio Assessment)
一枚の用紙に収まるポートフォリオ情報
→学習前の本質的な問いに対して、答えられなかった児童が、学習の最後でどう思考し、解決したのかを見とることができる。また、学習前と後とでの変容を自己評価をして振り返ることができる。
・紙媒体でしたほうがいいか?
・今年度の実施方法は?
・全教科、1年の中で 1 回は実施したほうが良いのか? 前期の中で一回は行ったほうが良 いのか
令和7年4月2日(水曜日) 第1回 研究全体会
1 .校長より
令和6〜7年度の研究について「どうして主体性なのか。」
教育課題(不登校増、自殺増、いじめ、学習意欲減、将来の希望小、教員の過労)
→日本の子供は、自己肯定感が低い
→身体的健康度は世界第一位
精神的幸福度38カ国中37位
社会的スキル40カ国中39位
【令和 5 年度の研究】
子供達の幸福、自分で幸せを選び取れるようにしたい。
→自己肯定感の高まりが必要
→主体的である
・子供達を信じて任せてやらせてみることが必要だったのでは。
〈3つの取り組み〉
・学力向上(授業改革、評価改革、家庭学習改革)
・特別活動(体験の機会の創出)
・リーダー・イン・ミー(7つの習慣を活用した学校文化の創造)
2 .M研究主任より
主体的である定義
・自己決定・自己責任
・遊びに夢中になっている時の姿が主体的である。
→ 学習時間の中でも引き出したい。
授業→児童が主体となる学習時間に
・児童が主体となる学習は協働的な学びの中にある。
〈昨年度の取り組み〉
・学習時間
・評価改革通知表の見直し→廃止へ
・ファイリング資料
・家庭学習改革(一律の宿題の廃止→自学のすすめ)
・特別活動(昨年に引き続き)
*S(Subject) P(Project-Based Learnning)
(S) ・ 一問一答式の一斉指導からの脱却
・ 学習リーダーによる進行
・ 教科(S)に力を入れてきた。
・ 全学級で全教員で学習時間の研究を行なった。
(P) ・ 主に生活、総合で本気で子供に任せてみる学習への挑戦
・ 各学年で課題解決学習を子供に任せ、子供に委ねることに挑戦
・ 生活・総合的な学習の時間(P)は、活動している様子を澤田先生に見ていただきながら進めてきた。
先生の役割は?
キーワード「見取りと評価(認める)&チェック」
今年は研究推進委員会を中心に、分科会と3つの役割(発表・研究冊子・校内環境)を分担して進めていく。
<研究の方向性について>
○ 児童が主体的に学習する時間にするための手立てを、教科(S)、生活・総合的な学習の時間(P)において研究し実践していく。
○ (S)において教科は絞らない。
○ 子供に任せ、教師はしっかり見取りと評価を行っていく。
○ 学習内容や知識の定着を確認する「チェック」の場を設ける。
○ S において 7月までに学習リーダーを中心に児童が主体的に学習時間を進めていくことを 日常化する。
○ 主体的・対話的な深い学びの学習活動を目指し、考察方法の研究実践を重ね、検証していく。
○ 全体会での共有の場をなるべく多く設け、学年・分科会での実践の共有や全体での共通理解を図る。
○ 3年間の長期的な視点で研究を進め、今年度は研究発表を行う。
(R5特色ある学校づくり推進校)(R6・R7研究協力校)
〇 講師・・・(S) 西留安雄先生(日本新たな学び方研究開発ネットワーク会長)
(P) 澤田稔先生(上智大学教授)
(OPPA) 中島 雅子先生(埼玉大学准教授)
3 .Y先生より
〈家庭学習について〉
前提として、 「家庭学習は全員実施」
一律の内容を出さない→学習内容を自分たちで決める必要がある。
「家庭学習がなくなった。」=家で学習をしなくて良い。と認識している児童・保護者が多い
現状、認識に大きなズレがある。
・上記の内容を学校から改めて正式に 強調して伝えないといけない。
最終的に5、6年生で課題に対して自分で判断し見通しをもって取り組めるようになる
ことを目指し、 段階的に家庭学習を進めていく 。 「自学のすすめ」も活用していく。
【低学年】 (基礎基本の定着、学習習慣を身に付ける)
・毎日、家庭学習に取り組む。最初のうちは担任が内容も提示。
【中・高学年】 (基礎基本の定着、見通しをもって学習に取り組む)
・1週間の予定を自分で立てて取り組む(学習予定表の活用)
* 学習予定表は、予定・実際に取り組んだ内容・時間等を明記できるものにする。
→予定表を活用する全児童が「予定表を記入→担任の確認」が必要。
担任の確認の頻度等は、学年や実態に応じて変えていく。
→個人の苦手なものを避ける、学びの偏りなど声掛けが必要。
→時間の確保が必要。朝の時間が空いているのは火曜日のみ。
→紙だけでなく、ロイロノートで予定を立てるでも可
→土よう日はあるべきか。
→保護者との連携が取れないか。
保護者がどんな予定を立てたか、確認する場が必要では。
→内容のアドバイスができる欄などについても学力向上で相談していく。
・学校で使うものは購入。家庭学習用のドリルは買わない。
→保護者の負担減。
→おすすめのドリルを提示して個別で保護者に買ってもらう。
*漢字ドリル・計算ドリルは学校で一括購入。
→くり返しの練習ノートは不要。書き込み式のものにする。
→漢字10問テストは全学年購入。
→算数は、教科書会社の問題やiPadの活用をして自主学習で活用させる。
・学習時間の中で使用するのであれば、各学年の判断で決めていく。
縦型ドリルを学習時間で使用するノートの指導をして書いたり、書き込む形でも可
書き込むノートの計算スキルでなくても可
・低中高で交流・相談しながら購入していく。
※カラーテストは全学年購入。
→児童の学習到達度を面談で伝える上で、 教員が丸付けをして評価や面談内容の材料にす
る必要がある。
※「プレテスト」を全学年購入。
→これを活用することで、児童が自分たちでチェック・学び合いをする場とする。
○ ファイリング資料について
・今年度テストは挟まず、A4ファイルに変更。
・資料は、学習時間で行なった成果物(ワークシート等)
・OPPAシートを挟むかどうか、書式等は未定。
PDF形式のファイルを開くには、Adobe Acrobat Reader DC(旧Adobe Reader)が必要です。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。
Adobe Acrobat Reader DCのダウンロードへ